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引越しを決めると、まずは引越し先、その後も荷物を整理・梱包などといったいわゆる「メインの作業」に気をとられがちですが、実際には全工程を通して必要な手続きが多く存在します。なかでも、転入届や転居届、自動車関連、国民健康保険などは期限が決められているので、段取りを確認して順序よく、なるべく早く取り掛かるようにしましょう。この記事では、引越しに必要な手続きの種類と、時期ごとに必要な引越し手続きをカウントダウン形式で紹介していきます。
※詳細は自治体によって異なるため、必要に応じて事前に各自治体にお問い合わせください。
引越しに必要な手続きの種類
引越しに必要な手続きは非常に多く、手あたり次第取り組もうと思うと混乱してしまいがちです。まずは種類別にみていきましょう。
役所で行う手続き
役所で行う手続きには以下のようなものがあります。
- 転居届(市内で引越しする場合)
- 転出届/転入届け(県内の別自治体や県外へ引越しする場合)
- マイナンバーカード(通知カード)の住所変更
- 印鑑登録の住所変更(登録者のみ)
- 国民健康保険の住所変更(加入者のみ)
- 国民年金の住所変更(該当者のみ)
また、引越しの際に「収入証明書」の提出を求められる場合があります。 収入証明書は、証明する年度の1月1日に住民登録をしていた市区町村の役所で発行できます。
各種ライフラインの手続き
役所で行う手続き以外には、ガス・水道・電気といったライフライン系のものがあります。
- ガス
- 水道
- 電力
- 郵便局
- 固定電話
- 携帯電話/スマートフォン
- インターネット
この他にも、新聞を購読している方やNHKを受信契約されている方はそれぞれ手続きが必要になります。どちらもウェブサイト上で簡単に手続きできます。
また、郵便局では引越し前の住所に届いた郵便物を新しい住所に転送するための手続きを行うことができます。窓口へ直接出向くことが難しい場合は、日本郵便のホームページでも手続き可能です。
自動車やバイクに関する手続き
自動車やバイクをお持ちの方は、運転免許証の住所変更が必要になります。駐車場を借りている場合は解約・新規契約なども必要になるでしょう。自動車を所有している場合は、車検証の住所変更手続きも必要です。また、ナンバープレートに表示する地域が変わる場合は、運輸支局へ車両を持ち込み、ナンバープレートを交換する必要があります。新住所がどの管轄にあたるか調べておきましょう。車庫証明の住所変更は、新住所を管轄する警察署の窓口で行います。これら乗り物関連の手続きは法的に期限が定められているものが多いので、忘れずにしっかり確認しておきましょう。
その他の手続き
その他にも、以下のような手続きがあります。
- 火災保険/地震保険/介護保険の住所変更
- クレジットカードの住所変更
- 銀行口座の住所変更
- 保育園・小中高校の転園転校手続き、児童手当の住所変更等、子ども関連の手続き
- ペットの登録事項変更届
なお、パスポートは名前や本籍に変更がなければ、住所変更の手続きは必要ありません。
時期ごとに必要な引越し手続き
引越しに必要な手続きは、種類が多い上に期限付きのものもあるので、時系列に沿って順序よく行うのがおすすめです。ここでは、引越し決定後から引越し後に余裕ができてから行うまでの手続きを8つの段階に分けて、カウントダウン形式で紹介していきます。
引越し決定後
まず、引越しが決まったらできるだけ早く行いたい手続きは以下のとおりです。
- 賃貸物件の解約手続き
- 駐車場の解約手続き
- 学校の転校手続き
大抵の賃貸物件では退去の数ヶ月前に解約を申し出るという決まりがあります。大家さんや管理会社、不動産会社へ連絡しましょう。月極駐車場を契約している方も、管理会社または貸主に早めに連絡しましょう。また、公立の小中高校へ通うお子さんがいる方は、在籍している学校へ「在学証明書」や「教科書給与証明書」を発行してもらいます。
1ヶ月前
- 粗大ゴミ処分手続き
- インターネットの引越し手続き
- 火災保険の住所変更
粗大ごみを処分する場合は、自治体へ申し込み、手数料を払う必要があります。ネット回線を契約している方は、プロバイダやNTTへ引越し手続きを行いましょう。新居での開通工事には時間がかかり、繁忙期は予約が取れないこともあるので、できるだけ早めに動いておくのがベストです。火災保険は住居の形態によって手続方法が変わるので、余裕をみて保険会社に問い合わせましょう。
10日ほど前
引越しの2週間前にもなると、役所関係の手続きやライフラインの解約申し込み、金融機関の手続きで忙しくなります。この時期に役場で行っておく手続きは
- 転出届の提出
- 国民健康保険の資格喪失手続き
- 印鑑登録の抹消
- 児童手当の住所変更手続き
- 原付(50~125ccのバイク)の廃車手続き
などがありますが、いずれも別の市区町村へ引越しする人が対象になります。原付に関しては市区町村単位で登録されているため、新住所に登録するためにまず旧住所での登録を解除する必要があります。なお、ペットの登録事項変更届は保健所でも手続き可能です。
その他、以下のようなライフラインの解約手続きも進めなければなりません。
- 固定電話の変更手続き
- 電気の使用停止・開始手続き
固定電話は2週間前に、電気の使用・停止手続きはなるべく早めに済ませておきましょう。
さらに、以下のような金融機関の住所変更も行いましょう。
- 保険会社
- クレジットカード会社
- 銀行
いずれも郵送、もしくはインターネット上で手続き可能です。郵送の場合は時間がかかるので、所要日数を考慮して早めに行っておきましょう。
1週間前
引越しの1週間前に行う主な手続きには、以下のようなものがあります。
- 新聞配達先住所の変更
- NHKの住所変更手続き
- 携帯電話・スマートフォンの住所変更手続き
- 保険会社、クレジットカード会社、銀行など金融機関の住所変更(インターネット上で行う場合)
新聞を購読している方は一週間前までに住所変更を行います。金融機関の住所変更をインターネットで行う場合も、この時期に済ませておくと良いでしょう。
3~4日前
引越しの3~4日前には、下記のような主にライフラインの中止・開始手続き、郵便物の転送手続きなどを行います。ペットがいる場合は登録事項変更届を役所か保健所にて行いましょう。
- ガス/水道/電気の使用中止・開始手続き(繁忙期はもう少し早めに)
- 郵便物の転送手続き
- 牛乳/米屋/酒屋などの精算
- ペットの登録事項変更届
当日
引越し当日は、旧居で行う手続きと新居で行う手続きがあり、内訳は主に賃貸物件の契約関係とライフラインの停止・開始手続きです。まず旧居で行う手続きとしては、以下のようなものがあります。
- ガスの使用停止の立会い(ガスメーターが室内についている場合)
- 水道の使用停止の立会い(オートロックのマンションに住んでいる場合)
- 都市ガスの解約と閉栓手続き
- 水道局への解約手続き
- 旧居の明け渡し
次に新居で行う手続きは以下のとおりです。
- 電気、水道局への新規契約と開栓手続き
- ガスの開栓の立会い
引越し後すぐ
引越しが完了してからも、転居・転入届をはじめ、やるべき手続きはまだまだ残されています。なかでも以下の手続きは提出期限が決められているので、引越し後すぐに取り掛かりましょう。
- 転居・転入届(引越し後14日以内)
- マイナンバーカード(通知カード)の住所変更(引越し後14日以内)
- 児童手当の認定申請(引越し後15日以内)
- 車庫証明の取得申請、免許証の住所変更など車関係の手続き(引越し後15日以内)
また、学校の転校手続き、銀行やクレジットカードの住所変更、通販サイトをよく利用される方は通販サイトの住所変更手続きも早めに済ませたほうがよいでしょう。
余裕ができ次第
上記の他にも、引越し後に必要な手続きは以下のものがあります。いずれもそこまで急ぎではありませんが、できるだけ早く済ませておくと安心です。
- ペットの登録事項変更届(引越し後30日以内)
- 印鑑登録(対象者:別の市区町村へ引越しする人)
- 国民年金の住所変更/加入
- 原付バイク(125cc以下)の住所変更(対象者:別の市区町村へ引越しする人)
「引越しワンストップサービス」とは
ここまでお読みいただいて、引越しに必要な手続きは多数存在し、いかに複雑であるかおわかりいただけたかと思います。ついつい面倒に感じてしまい、引越し前から憂鬱になっている方もいることでしょう。そんな方に紹介したい便利なサービスが「引越しワンストップサービス」です。こちらは面倒な引越しに関する手続きを、オンライン上で一括にて申請できるというまさに夢のようなサービスです。
引越しの手続きをオンラインで一括申請できる
「引越しワンストップサービス」とは、その名の通り、引越しに関わる手続きが、オンライン上で一括申請できる大変便利なサービスです。大まかな流れは以下のとおりになります。
- ウェブサイト上で仮申請を行う
- 引越し先の市区町村役場でマイナンバー情報を更新する
- 申請が通り次第、ネット上で一括手続きする
政府主導で現在検討中(2020年7月現在)
残念ながら、「引越しワンストップサービス」はまだ実施はされておらず、現在は政府主導で検討中の段階です。しかし、このサービスが実現すれば、
- 行政機関への各種届出
- ガス/電気/水道など各種ライフラインの変更手続き
- 銀行口座の住所変更手続き
- 郵便局の住所変更手続き
- 保険の登録住所変更手続き
- 年金の住所変更等
上記の手続きがすべてオンライン上で一括申請できるようになります。実現すれば引越しのハードルがぐんと下がることになるでしょう。特に転勤などで頻繁に引越しをする方は、今後の政府の動向に注目したいところです。
まとめ
引越しに関わる手続きは、人によって必要なものが違ったり、役所や警察署の窓口へ直接出向いたり、オンラインで申請できたりと提出先や方法もさまざまなうえに、期限が決められているものとそうでないものがあります。非常に複雑なので、ついうっかりして必要な手続きを忘れていた、提出期限が過ぎてしまったなどということのないように、注意しなければなりません。ぜひこの記事を参考にして、スムーズに引越しを実現してくださいね。